これから分散システムが重要になる理由

7月26日に野口悠紀雄 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授の「米中経済戦争」に関する講義があり、その中でlibraに関し「米国議会やFRBなど米国政府によるリブラ叩きは愚かなこと」と述べられました。

実は昨年2018年3月の野口氏の中国AI特別講義にて「中国のAIがある意味米国より進む脅威に、ブロックチェーン などの分散システムで戦う構図があるのではないか」と質問。→野口氏の同意を得たことを覚えています。

それから1年以上経ちますが、今回Facebookのlibraでその構図が現実しそうになっているわけです。

Facebookは世界規模でSNSプラットフォームを広げて来ましたが、アリババやウィーチャットなどに同じ手法を感じるでしょう。中国は国家レベルでシリコンバレーの戦略モデルを実にうまく学習しています。

おそらくFacebookは今回中国では起こり得ない個人情報に関する問題を通じて、中国に世界の覇権を取られると悟ったのではないか。そこに今回のlibraの重要性が感じられるのです。

しかし米議会や政府による「反発」を見ると中国の技術的脅威に対する理解力の無さに驚きます。確かに個人情報や既存の金融システムをどうするかという課題はありますが、その前に中国が攻めてくる可能性は十分あるでしょう。

野口氏の「米国議会やFRBなど米国政府によるリブラ叩きは愚かなこと」にとても同感します。

トランプ大統領のファーウェイ叩きにはその危機感を感じますが、本来中国を叩くための戦略手法はlibraなどの「ブロックチェーン分散システム」だと言う理解がないとまずいかもしれません。

これから、論点は少しずつ中国の覇権をどうやって叩くかというところに移っていくと思われます。